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タイルの種類やJIS規格による分類を解説。吸水率・成形方法・デザイン別の特徴から、用途に適した選び方までプロ向けに詳しく紹介します。
タイルの種類を徹底解説|JIS規格の分類と選び方【プロ向け】

住宅や商業施設で広く採用されるタイルは、意匠性だけでなく耐久性や防汚性にも優れた建材です。しかし「磁器質」「せっ器質」「大判タイル」など分類が多く、用途に合わない選定は施工不良や劣化の原因にもなります。本記事では、JIS規格に基づく分類体系からデザイン・性能別の特徴まで、プロ向けに分かりやすく解説します。

タイルとは|建材としての基礎知識

タイルは、住宅・商業施設・公共施設など幅広い建築物で使用される代表的な仕上げ材です。耐久性や防汚性に優れるだけでなく、デザイン性も高く、内装・外装問わず多くの空間で採用されています。一方で、タイルは材質や焼成温度、吸水率、用途によって性能が大きく異なるため、施工場所に適した種類を選定することが重要です。

ここでは、タイルがどのような建材なのかという基本的な定義から、歴史的背景、さらに建材として評価される特徴について解説します。まずはタイルの基礎知識を理解することで、後述するJIS規格や性能分類も把握しやすくなります。

タイルの定義と歴史

タイル(英:tile)の語源は、ラテン語の「tegula(テグラ)」で、「覆うもの」を意味する言葉です。語源のとおり、タイルは建物の内装・外装の床や壁を覆うために使用される建築材料を指します。一般的には、粘土・長石・珪石などを主原料として成形し、高温で焼き固めた板状の陶磁器質建材をタイルと呼びます。

タイルの歴史は古代メソポタミア文明やエジプト文明まで遡り、装飾材や建築材料として世界各地へ広まりました。日本では飛鳥時代に瓦文化とともに伝わったことが始まりとされ、寺院建築や浴場文化の発展とともに普及していきました。現在では製造技術の進化によって大量生産が可能となり、住宅・マンション・商業施設・駅舎など幅広い建築物に採用されています。近年は高意匠化も進み、天然石調や木目調など多彩なデザインタイルも増加しています。

建材としてのタイルの特徴

タイルは耐水性・耐久性・防汚性に優れている点が大きな特徴です。紫外線による色褪せが起こりにくく、長期間にわたって美観を維持しやすいため、住宅や商業施設の外装材としても高く評価されています。また、汚れが付着しにくく清掃性にも優れることから、水回りや店舗内装など幅広い場所で使用されています。

タイルは素地質によって「磁器質」「せっ器質」「陶器質」に分類され、それぞれ吸水率や耐久性などの性能が異なります。また、表面に釉薬を施した「施釉タイル」と、釉薬を施さない「無釉タイル」に分類されることもあり、用途や意匠によって使い分けられています。

さらに、サイズ・柄・質感のバリエーションも豊富で、空間デザインに合わせた提案がしやすい点もタイルの魅力です。

JIS規格によるタイルの分類体系

タイルの種類は「JIS A 5209」によって規格化されており、製造時の成形方法と強制吸水率を基準として分類されています。この分類は、タイルの性能や適した使用場所を判断するうえで重要な指標となっており、住宅・商業施設・屋外空間など施工環境に応じた選定に活用されています。

ここでは、成形方法と強制吸水率による分類の基本に加え、従来から使用されている「磁器質・せっ器質・陶器質」といった旧分類との関係についても解説します。

成形方法と吸水率による分類

タイルの成形方法

タイルの成形方法は「押出し成形」と「プレス成形」の2つに分類されます。


押出し成形(湿式成形

押出し成形(湿式成形)とは、含水率20〜25%程度の粘土状原料を押出成形機で連続的に押し出し、所定の寸法に切断して成形する方法です。焼成時に収縮や歪みが生じやすい一方、その自然なゆらぎが焼き物特有の風合いや質感を生み出します。主にせっ器質タイルやブリックタイルなどで採用されています。


プレス成形(乾式成形

プレス成形(乾式成形)とは、含水率の低い粉末状原料を金型に充填し、高圧プレスによって所定の形状・寸法に成形する方法です。寸法精度や品質の安定性に優れ、同一形状を大量生産しやすい点が特徴です。床用・壁用を問わず、さまざまな建築用タイルに採用されています。


タイルの吸水率

タイルの吸水率は「I類」「II類」「III類」の3つに分類されます。


I類(磁器質)

I類に該当するタイルの特徴は以下のとおりです。

  • 【強制吸水率】3.0%以下
  • 【主な原料】粘土・長石・陶石 など
  • 【焼成温度】1,200〜1,350℃

素地が緻密で硬いことから、たたくと金属のような澄んだ音がします。磁器質タイルは吸水率が1%未満。ほとんど水を吸わないので、水回りでの使用に向いています。


II類(せっ器質)

II類に該当するタイルの特徴は以下のとおりです。

  • 【強制吸水率】10.0%以下
  • 【主な原料】粘土・長石 ・シャモットなど
  • 【焼成温度】1,200℃前後

外装と内装、どちらの使用にも適しているのが特徴です。押出し成形で成形されることが多いため、焼き物ならではの風合いが楽しめます。


III類(陶器質)

III類に該当するタイルの特徴は以下のとおりです。

  • 【強制吸水率】50.0%以下
  • 【主な原料】陶土・石灰 など
  • 【焼成温度】1,000〜1,200℃

強制吸水率が高いうえに、細かい穴がたくさん空いた「多孔質」の構造で柔らかいため、主に内装に使われます。


▼JIS規格によるタイルの分類表

成形方法強制吸水率
I類(3.0%以下)II類(10.0%以下)III類(50.0%以下)
押出し成形(A)A IA IIA III
プレス成形(B)B IB IIB III

旧分類(磁器質・せっ器質・陶器質)との関係

2008年のJIS改正以前は、タイルは吸水率によって「磁器質」「せっ器質」「陶器質」に分類されていました。しかし、JIS改正により吸水率の測定方法が「自然吸水」から「強制吸水(煮沸法・真空法)」へ変更され、現在では「I類〜III類」という区分が採用されています。

一般的には、磁器質タイルがI類、せっ器質タイルがII類、陶器質タイルがIII類に相当します。ただし、現在の分類は強制吸水率を基準としているため、従来の分類と完全に同義ではありません。

また、外装への使用可否や耐凍害性については、吸水率区分だけで判断されるものではなく、別途「JIS A 1509-9」に基づく耐凍害試験によって確認されます。そのため、実際の製品選定では、分類名称だけでなく製品仕様や試験結果を確認することが重要です。

新分類と旧分類の比較

【新分類】
JIS A 5209
吸水率(%)【旧分類】
JIS A 5209
吸水率(%)
Ⅰ類3.0以下磁器質1.0以下
Ⅱ類10.0以下せっ器質5.0以下
Ⅲ類50.0以下陶器質22.0以下
メーカーによっては、従来の分類名称の認知度を踏まえ、「磁器質(I類)」「せっ器質(II類)」「陶器質(III類)」のように、新旧分類を併記しているケースも多く見られます。

デザイン・形状によるタイルの種類

タイルは性能面だけでなく、デザインや形状のバリエーションが豊富な点も大きな魅力です。近年では、天然石調や木目調など高意匠なデザインに加え、空間演出を重視した大判タイルや、アクセント使いに適したモザイクタイルの需要も高まっています。また、サイズや表面形状、焼成や加飾による質感の違いによって、空間の印象は大きく変化します。

ここでは、形状・サイズ・柄・質感など、デザイン面から見たタイルの種類と特徴について解説します。

形状のバリエーション

タイルには正方形や長方形だけでなく、六角形・ひし形・ランダム形状などさまざまなデザインがあります。近年は意匠性を重視した空間づくりが増えており、デザインタイルの需要も高まっています。

特に人気が高いのがモザイクタイルです。小粒サイズのタイルをシート状にまとめた製品で、曲面施工や細かなアクセント表現に適しています。キッチン・洗面・店舗内装などで採用されることが多く、空間に個性を与えやすい点が特徴です。

また、サブウェイタイルのような細長い形状は、カフェ風やヴィンテージテイストの空間との相性が良く、住宅内装でも人気があります。

▼多彩な形状

サイズによる分類と効果

タイルはサイズによって空間の印象が大きく変わります。100角や150角などの小型タイルは、目地による細かな表情を作りやすく、ナチュラルで柔らかい印象を与えます。

一方、600角以上の大判タイルは目地を減らせるため、空間を広く見せやすく、高級感のある仕上がりを演出できます。近年では1200角クラスの大型製品も増えており、ホテル・商業施設・高級住宅などで採用が広がっています。

ただし、大判タイルは下地精度や施工技術の影響を受けやすいため、施工条件を踏まえた選定が必要です。重量も大きくなるため、搬入経路や施工性についても事前確認が重要となります。

▼多彩な形状

柄・レリーフのバリエーション

タイルの柄には、天然石調・木目調・モルタル調・コンクリート調など多くの種類があります。近年はインクジェット印刷技術の進化により、天然素材に近いリアルな質感を再現した製品も増えています。

また、表面に凹凸を持たせたレリーフタイルは、光の陰影によって立体感を演出できる点が特徴です。エントランスや店舗壁面など、空間演出を重視する場所で多く採用されています。

同じ色味でも表面テクスチャによって印象が大きく変わるため、照明計画も含めた選定が重要です。

▼多彩な柄・レリーフ

焼成と加飾で変わるタイルの質感

タイルの質感は、焼成温度や加飾方法によって大きく変化します。高温焼成されたタイルは緻密で硬質な仕上がりになり、耐久性や耐摩耗性にも優れています。

また、加飾技術によって磨き調・マット調・天然素材風など、多様な質感表現が可能になりました。近年はデジタル加飾技術の進化によって、天然石や木材のようなリアルな意匠を持ちながら、タイル特有のメンテナンス性を維持した製品も増えています。

質感は見た目だけでなく、防滑性や清掃性にも関係するため、施工場所に応じた選定が重要です。

▼多彩な質感

LDKplusでは様々なタイルを豊富に取り揃えております。タイルの選定にお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

吸水率によるタイルの種類と使用に適した場所

タイル選定において、吸水率は重要な性能指標のひとつです。吸水率とは、タイルがどれだけ水分を吸収するかを示す数値であり、耐凍害性や耐久性、防汚性などに大きく関係します。

特に外装や寒冷地では、吸水率の高いタイルを使用すると、内部に浸入した水分が凍結膨張し、ひび割れや剥離の原因となる場合があります。そのため、施工環境に適した吸水率区分を理解することが重要です。

また、床用途では耐摩耗性や防滑性も求められるため、デザイン性だけで選定すると施工後トラブルにつながる可能性があります。ここでは、I類・II類・III類それぞれの特徴と適した使用場所について解説します。

I類(磁器質)タイルの特徴と使用に適した場所

I類タイルは吸水率3%以下の低吸水タイルで、耐久性・耐水性・耐凍害性に優れています。外壁・玄関床・アプローチ・商業施設床など、高耐久性が求められる場所で広く採用されています。

硬質で傷が付きにくく、長期間美観を維持しやすい点も特徴です。寒冷地や雨掛かりの多い場所にも適しており、外装用途では代表的な分類となります。

II類(せっ器質)タイルの特徴と使用に適した場所

II類タイルは吸水率3%超〜10%以下で、I類とIII類の中間的な性能を持ちます。住宅外壁や店舗内装など、幅広い用途で使用されるバランス型のタイルです。

意匠性と施工性のバランスに優れており、多彩なデザイン製品が展開されています。ただし、製品によって耐凍害性に差があるため、屋外使用時には仕様確認が必要です。

III類(陶器質)タイルの特徴と使用に適した場所

III類タイルは吸水率10%超の高吸水タイルで、主に屋内壁用途に使用されます。軽量で加工しやすく、意匠性に優れる製品が多い点が特徴です。

キッチン・洗面・トイレなどの内装壁面で広く採用されており、アクセントタイルとしても人気があります。一方で、耐凍害性は低いため、屋外や寒冷地には適していません。

まとめ

タイルは、吸水率や製造方法、デザインによって性能や適した用途が大きく異なる建材です。特にJIS規格による分類を理解することで、施工場所に適した製品選定がしやすくなります。見た目だけでなく、耐久性・耐水性・施工条件まで含めて検討することが、長期的に品質の高い空間づくりにつながります。

LDKplusでは様々なタイルを豊富に取り揃えております。施工シーンに合わせた商品選びを通じて、快適な住環境づくりをサポートいたします。